久々にへんてこな夢を見た。
私は体育館のような、椅子が並べられた空間にいる。
ふと気づくと、近くの椅子に掛けていた私のコートで、100歳をゆうに超えたであろう老人が、よだれをぬぐっていた。
その表情に悪意はなく、むしろ、のほほんとした雰囲気であった。
どうやら認知症らしい。
隣に息子さんらしきご老人(70~80歳くらい)も座っていて、すこし慌てた様子で父親をたしなめているようだった。
よだれで濡れたコートはとても高級なもので、同じ生地でつくった冬物のワンピースとセットである。
だから正直、「あちゃー」と思った。
けれどもまあ、ご老人だし、悪意はなさそうなので、仕方ないと自分に言い聞かせ「ああ、大丈夫ですよ」なんて言う。
(私は現実でも嫌なものを全然平気な風に装うことがままある。)
私は何かの作業に一瞬戻り、ふと老人親子のほうを見ると、今度は息子さんらしきご老人のほうがコートだかワンピースだかを口元に当てていた。
(どうしてそういうことになるのかはわからないのだが)どうやらすでに付着したよだれすすることで原状回復につとめようとしてくれているらしい。
だが、逆によだれエリアは広がっていた。
「ああ、ほんとに大丈夫ですから!」と私は言う。
「ほんとですか?」というような表情で、若いほうの老人が私を見上げた。
このあたりで目が覚めた。
インパクトの強い夢であった。
雑感
夢占い的なサイトを参照してみると、よだれ(はなかったので「唾液や唾」)にはモチベーションとか生命力や財産といった意味があるらしい。
だとすると、(最もポジティブに解釈するならば)他人から財産をもらうともいえるかもしれない。
しかし、「他人に唾を吐かれる」だと凶夢らしい(人間関係トラブルとか)。
シチュエーション的にはこれに近いような気がするけれど、悪意は感じなかったのでわからない。
結局、普段通りに過ごすしかないのである。
ただ、ひとつふと思ったことがある。
私は夢のなかでも大丈夫なフリをした(もう一人の自分が「私いつもこうなんだよな」とちょっとげんなりした)。
つまり、嫌なものは嫌と言っていいのかもしれない。
嫌と言わずとも、嫌そうな顔くらいはしてもいいのかもしれない。